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アメリカ皆既日食2017:第2報 コロナの画像処理 [日食]

2017年8月21日アメリカオレゴン州ワームスプリングスのカニータリゾートで観察した皆既日食時に撮影した写真について、ローテーショナル・グラディエント法およびR-USM法によりコロナの流線を目的とした画像処理を行った。

【ローテーショナル・グラディエント法】
StellaImage 8(AstroArts)を用いて同じ露出の写真4枚づつをコンポジット後に、回転角0.65, 強度2.9でローテーショナル・グラディエント処理した。元画像はEOS 5D Mark 3 + BORG107FL, 600mm, F5.6, ISO200, 露出1/1000", 1/250", 1/60", 1/15", 1/4", 1"の6段階で撮影した4組の写真(RAW)である。このうち露出1/250秒、1/60秒、1/15秒の3枚を示す。

●皆既日食時のコロナ:ローテーショナル・グラディエント法 
O5319_20_065_29.jpg
左:露出1/250秒 x 4枚 2017.8.21 10:19:49〜10:21:03
右:露出1/60秒 x 4枚 2017.8.21 10:19:50〜10:21:05

O5321_065_29bl.jpg
露出1/15秒 x 4枚 2017.8.21 10:19:52〜10:21:07(左下の星はしし座α星レグルス)

●5段階露出による合成:ローテーショナル・グラディエント法
add1_5_065_29-2.jpg
露出1/1000", 1/250", 1/60", 1/15", 1/4"の5段階で撮影したRAW写真をローテーショナル・グラディエント処理(回転角0.65, 強度2.9)後、加算コンポジットした。単純加算では全体的に流線構造が見えるが、個々の写真よりやや不明瞭になった。

【R-USM法】
塩田和生さんにより開発されたR-USM法(回転アンシャープマスク法)により画像処理を行った。元画像はEOS 5D Mark 3 + BORG107FL, 600mm, F5.6, ISO200, 露出1/1000", 1/250", 1/60", 1/15", 1/4", 1"の6段階で撮影した4組の写真のうち、プロミネンスがやや目立った4番目に撮影した写真(Jpeg)を用いた。

大越治・塩田和生著「日食のすべて」(誠文堂新光社2012年3月30日発行)pp131〜134 コロナの画像処理にしたがって処理を行った。PhotoShop CCによりRAW画像での処理を試みたが、回転ぼかしの中心点が求められなかったため、PhotoShop CS5によりJpeg画像で処理をおこなった(θ=10°、γ=90%)。

●皆既日食時のコロナ:R-USM法
corona2017_RUSM_10_90bl.jpg
撮影:2017.8.21 10:21:02〜10:21:08(左下の星はしし座α星レグルス)

●皆既日食時のコロナ2:R-USM法 2017.9.21追記
eclさんのアドバイスにより回転ぼかしを3通りで行い、それぞれ加算してみた(θ=4° γ=95%、θ=8° γ=95%、θ=12° γ=95%)
corona18-22_4812_95bl.jpg


【皆既日食のハイライト】
R-USM法によるコロナの写真を中心に、第2接触と第3接触のダイヤモンドリングおよび皆既直前直後の部分食を並べて皆既日食のハイライト写真を作成した。元画像はEOS 5D Mark 3 + BORG107FL, 600mm, F5.6, ISO200で撮影した。

●アメリカ皆既日食のハイライト
Hilight3-bl.jpg
部分食
 2017.8.21 10:17:50 1/800" アストロソーラーフィルター
ダイヤモンドリング
 2017.8.21 10:19:33 1/500"
コロナ
 2017.8.21 10:21:02〜10:21:08 1/1000", 1/250", 1/60", 1/15", 1/4"
ダイヤモンドリング
 2017.8.21 10:21:35 1/500"
部分食
 2017.8.21 10:23:03 1/800" アストロソーラーフィルター

【皆既日食後の満月】
2017.9.6 皆既日食を起こした月が地球を半周して満月となった。自宅バルコニーで撮影。

●月齢15.8 2017.9.6 21:38(EOS 6D + BORG107FL 600mm, F5.6, ISO250, 1/1600秒)
IMG_3627-6d1.jpg


【追記 2017.10.14】
ハイライト写真は背景色の違いが見えたため合成をやりなおしました。


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コメント 12

坂の上の蜘蛛

色々な高度な画像処理技術があるんですね。(*_*)
皆既日食撮影だけでもでも素晴らしいと思っているのに・・・。
奥が深いですね。(^^)
by 坂の上の蜘蛛 (2017-09-07 10:50) 

kinda

〉坂の上の蜘蛛さん
コメントありがとうございます。今回5回目の皆既日食でした。これまでコロナの流線画像の撮りたいと思ってはいましたが、雲が厚かったり、赤道儀を使用していなかったりで画像処理可能な元画像が撮れていませんでした。今回、赤道儀+エクリップスナビゲーターによる自動撮影で初めて元画像が撮れましたので、上記のようにやってみた訳です。更に、もっと綺麗に撮りたいなとは思っています。
by kinda (2017-09-07 18:23) 

queso

コロナもダイヤモンドリングも美しいです。
昔、教科書でしか見たことのないような写真を個人でも撮影できる
時代になったのですね・・・。
現地には世界中からファンが集まっていたのでしょうね。
アジア系では日本人が多いのでしょうか。

by queso (2017-09-07 19:09) 

Nori

綺麗なコロナ出てますね。こんなのが自分の手で撮れたら最高ですね。
科学雑誌でしか見れなかったものが撮影できるなんて本当にすごいです。
感動します。
by Nori (2017-09-07 19:55) 

kinda

〉quesoさん
facebookの天体写真グループではStellaImageなどのソフト、またはPhotoShopによるR-USM法などで、皆さんこのような写真を撮られています。今回参加したカニータリゾートは日本人の敷地内貸し切りだったため、すべて日本人でした。世界中の人が集まった会場でないため、安全でしたがちょっと寂しい感じもありました。

〉Noriさん
今回は露出を多段階で変えて撮影してくれるエクリップスナビゲーター3のおかげで、コロナの画像処理用の元画像を自動で撮ることが出来ました。7段階で設定しましたが全体に明るすぎて5段階の写真を使用しました。他の方の結果をみると、もっと暗い方も加えて9〜12段階くらいで撮るべきでした。次回はそうしたいと思います。
by kinda (2017-09-08 03:03) 

takapy77

コロナやプロミネンス綺麗ですね。
平穏だった太陽活動、9月6日にいきなり最大級のフレアが
発生しビックリしましたが、日食と重なったら凄いのが撮れた
でしょうね。
太陽活動は、極小期に向かっていて、最近は黒点もあまり無かったのに
11年ぶりだそうですね。太陽の活動周期は11年なので、
前回も極小期に近い状態で発生した事になるんですね。
Cycle24の最後の悪あがきでしょうかね。
by takapy77 (2017-09-08 19:46) 

kinda

〉takapy77さん
ありがとうございます。最大級のフレアについてGPS障害などの悪影響はでておらず、オーロラの増加が見られているようです。今回日食のコロナは極小期の東西方向が主体(私の写真では左下〜右上)でしたが、もっと広がっているかも知れませんね。Cycle24の終わりの2020年前後に向けて無黒点が多くなると思います。
by kinda (2017-09-09 00:35) 

まっちゃん

コロナの動きがはっきり見える様になっていいですね。
通常のアンシャープではノイズばかりが強調されてしまうんでしょうね。
by まっちゃん (2017-09-09 19:01) 

kinda

〉まっちゃんさん
ありがとうございます。R-USM法は放射状回転した画像を元画像から減算して露出オーバー部分を差し引いた流線構造を浮かび上がらせ、それを各露出段階で行って加算する方法です。ローテーション・グラディエントも類似の方法です。実はこれも各段階の画像を加算するのですが、あまりうまくいかずとりあえず3露出分を示しました(やり方が間違ったかも)。通常のアンシャープマスクの方法論は知らないのですが、コロナの明るさは光度差が非常に大きいのでうまくいかないです。実は肉眼で皆既時のコロナをみると、この流線構造が明瞭にみられます。ヒトの目はその意味で極めて優秀です。
by kinda (2017-09-09 20:47) 

ecl

コロナの流線構造が奇麗に表現されていてお見事です。
手間はかかりますがR-USM処理の方が表現方法を自由にできるので良いかもしれませんね。
処理時間を考えるとローテーショングラディエント処理も捨てがたいですが。
それにしてもBORG107FLはシャープで良い写りですね。
by ecl (2017-09-09 22:56) 

silverag

行く前の準備、撮影当日、帰国後の処理
全て楽しそうですね
お天気にも恵まれて、最高
by silverag (2017-09-10 01:22) 

kinda

〉eclさん
ありがとうございます。ローテーショナル・グラディエントもR-USMも今回初めて行いました。ローテーショナル・グラディエントはStellaImage 8で回転角と強度を入れるだけでできたので簡便なのですが、各露出段階で処理した後の合成をまだやっていません。R-USMは「日食のすべて」にしたがってやりました。改良型R-USMもあるようですがまだ調べていません。まだまだ奥が深いですね (^^) BORG107FLは天体セットのラック&ピニオンによりピント合わせがやりやすいと思います。

〉silveragさん
ありがとうございます。まったくその通りなんですが、帰ってから溜まった仕事の処理に時間がかかり、ブログのほうはなかなか更新できない状態です。今、学会参加中でしたが、夜、旅行の写真選んでました (^^)
by kinda (2017-09-10 06:38) 

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